部活もないし、勉強もLDのせいかやらないので、「洗濯物を取り込む」「風呂掃除」という家事をお願いしていました。
ですが、ほぼできず、一日中、テレビ、ゲーム、マンガなどでダラダラと過ごしていました。そんな様子に小言をいってしまい、それに対して娘が激昂するというのが繰りかえされました。
また、身の回りのことが何度促しても定着しません。
箪笥の引き出しを閉めるとか、トイレのドアを最後まで閉めるとか、薬を飲むとか。階段のようになった引き出しや、開け放たれたトイレのドアをみると絶望感に襲われます。
この子の将来が心配で、不安で仕方ありません。進路も考える時期なのに、自発性も全く感じられないためどうサポートしたらいいのか困っています。この子に親として何かしてあげられることはありますか?
A 一緒にいる時間の長い夏休みなどは、目について仕方がないですよね。イライラと無力感の両方が重くのしかかる感じでしょうか。
実は、私自身も“開けたら閉めない、出したら戻さない”タイプで、よく母親に小言を言われていました。元々、家事の手伝いも嫌いで、何を言われても部屋で漫画を読んでいた一人です。そして、娘も同じでした・・・・
私が大学生で、一人で暮らしていた時、突然、友達が訪ねてきたことがあります。彼女は、部屋に下着が散乱しているのを見て、驚きましたが、(女の友達で良かった!)すぐに、何気なく、ささっと畳んで端に寄せてくれました。
私は、その手際の良さにびっくり。それは、余りに自然な動作で、躾けられたというより、本来持っている力が出ただけ、という感じでした。それまでは、他人と自分とを比較したこともなかったのですが、これは私の苦手な能力だな、と初めて思いました。
それからは、極力、意識して整理するようにしました。意識しなければできないことに気付いたとも言えます。待っていてもあの友人のようには、ならないな、と思ったのでした。
結婚して、子どもができ、その子ども達が大きくなって、それぞれ部屋を持った時、一番散らかっていたのは二人の息子ではなく、娘の部屋でした。“開けたら閉める、出したら戻す”と何度怒鳴ったことでしょうか。
同じように育てたつもりですが、娘の片付けられなさは、持って生まれた特徴なのでしょうね。忘れ物も多くて、ランドセルを背負わずに登校した時は、さすがに笑ってしまいました。娘も、最近は、それなりにやっているようです。以前の私のように、友人や彼氏に言われたことが一番きつかったのでしょう。
なので、今がそうだからといって、将来もこのまま、ということでもないようです。特に思春期は、身の回りを片付けるよりも気になることや、夢中になることが多すぎて、エネルギーはそちらに取られてしまうのかもしれません。
以前の私や娘のように、本人が困らないと、あるいは変わりたいと思わないと、難しいかもしれないですね。小言を言うたびに、相手は上手に無視する術を身につけてしまって、こちら側が疲弊することもよくあります。少しゆっくり構えて、その内どうにかなるだろうとタカをくくるほうが得策かもしれません。
ただ、確かに最低限の家事参加はしてほしいですね。お小遣いは、家事労働をした報酬として渡す、という約束も有用かもしれません。
いろいろな方法を試してみてもうまくいかず、生活に大きな支障を来して、本人も困難を感じている場合は、薬物療法を考えるという選択肢もあります。但し、この服薬こそ、本人に強いニーズがなければうまくいきません。よく話し合うことをお勧めします。
えじそんくらぶ会報 『カラフルライフ』 Vol.70より転記