2016.04.14 Thursday
<発達障害Q&A>
Q. 

小2女子の母です。先生の言っていることを理解できでない様子で、集団行動ができない (1人で好きなことをしてる)、勉強についていけないということで先生の方から指摘されての通級を勧められました。

衝動的に目に入ったことをしてしまう、次から次に好きなことに手を出す、じっとしてないでフラフラ好き勝手に立ち歩く、先生の言っている意味が理解できないのも、じっと話をきいていられないから理解できないというのが大きいようです。また、座っていられない、聞いていられない、計算が苦手などがあります。

現在、通級指導教室に通っていますが、病院へ行っていません。医療機関での診断を受ける必要があるのかどうか悩んでいます。
同居の義父母が「診断名が付くことで嫁入りの際に不利になる」とか「生命保険に入れなくなる」などと言います。「相手に伝えない選択もある」と伝えると、何かあったときに該断がついたことが後からわかると大変だといいますし、保険契約の場合は伝える義務があるため、それ以上の反論はできません。

義父母との関係もあるため私自身も悩んでしまいます。医療機関を受診することのメリットとデメリットを教えてください。



A.   

お話の様子ですと、多動と集中力の問題があるようです。もしかすると学習障害もあるのかもしれません。医療を受けるデメリットはよくわかりませんが、メリットはいくつかあると思います。

診断をつけるかどうかは別ですが、心理検査や知能検査、作業療法士や言語聴覚士による評価などは、本人の状態を客観的に理解する手助けになります。落ち着きのないうっかり者として、無駄に叱責されるよりも、ずっと本人の成長を促すことになるでしょう。

おじいちゃんやおばあちゃんの小学生の頃とは、教育の考え方も随分と変わってきています。本人の努力不足や親のしつけの問題にしてしまうのは、誰にとっても不幸なことと思います。

 

発達障害は、支障が出ることで診断につながりやすいので、 もともとあっても、診断を受ける年齢は様々ですね。環境によって目立つ場合もあれば、目立たないこともあります。環境の整備が大きな影響力を持ちますね。
 

例えるなら、「左利き」の状態と共通点があります。世の中、右利きが多数派なので、すべてが右利き仕様になっています。はさみもそうですし、改札のチケット投入口も右側です。レストランに行くとフォークもスプーンも右側に置かれてしまいます。まるで人間はすべて右利きというのが前提になっています。
数十年ほど前までは、左利きの子どもに対して、家庭や学校で右利きに「矯正」する練習をさせることがよくありました。親や先生にしてみれば、ゆくゆく不便なのだから、今のうちに「正しく」 直してあげるのが本人のためという思いだったのでしよう。

 

発達障害のある人たちが占める割合は、人口全体の5~10% あるいはそれ以上と言われています。これはとても大きな数字です。この数字は何に近いかというと、血液のAB型や左利きです。それほど多いということです。
 

ですので、これは障害者の数字ではなく、少数派の数字といえるのです。AB型や左利きを障害者とは呼びませんね。
 

さて、診断についてですが、特に今、診断をはっきりさせるメリットが本人にも家族にも思い当たらないのであれば、医療機関にかかる必要はないと思います。児童精神科は、他の病院と同じように、今必要という時に受診をすればいいと思います。小児科に行くのと同じです。
 

「保険加入」については、精神科でも内科でも診断名によっては加入に制限がつくのは、発達障害に限ったことではありません。最近は、さまざまな保険がありますから、多少選択の幅は狭くなったとしても、保険加入そのものができないわけではないと思います。
 

おじいちゃんおばあちゃんにしてみれば、いろいろと心配なのでしようが、発達障害という言葉が左利きと同じように使われる時代も夢ではないように思います。早くそんな世の中にしていきたいですね。
 

えじそんくらぶ会報 『カラフルライフ』Vol.85より転記
| 発達障害Q&A | 16:29 | - | - |
2016.04.14 Thursday
<発達障害Q&A>
Q.

小学生の子の発達状態に悩む親です。診断名がつくことが怖くて病院に行けません。発達障害と一度でも診断されると、その後、状態が良くなったとしても一生付いてまわるものですか? また、学校に知られるのが嫌で、教育センターでの検査も受けることができません。デメリットばかりが気になってしまいます。


A.

診断がつくことへの抵抗感はとても自然な気持ちと思います。まるで「最後の審判」かのように感じてしまって、「診断がついてしまったらおしまい」と不安になってしまうのでしょう。
でも、診断を最終ゴールにしてしまうか、スタート地点としてとらえるかは考え方次第だと思います。まずはこのように整理をしてみてはいかがでしょうか。

 

一つ目は、誰が診断を求めているか、です。対応に困っている担任が必要と言っているのか?親御さん自身なのか。あるいは、小学校高学年になると子ども自身が「僕は発達障害なんじゃないかな」と言い出す場合もありえましょう。
本人や親御さんが必要と思うのであれば、それを求めることに問題はないと思いますが、肝心の本人や家族ではない人たちが「診断してもらってください」というのであれば、これは、どうかな。。。。と思ってしまいます。

 

二つ目は、診断がつくことで本人にメリットがあるか、です。 メリットとはなんでしょうか。それまで自分勝手でわがまま、人の迷惑を考えない子といったとらえ方が間違っていて、困っているのは当の本人なんだ、ということが共有しやすくなるということだと思います。しつけが悪い、といった的外れの批判も同様です。診断は、こういった誤解を氷解してくれます。
周囲が共通の理解を持ったうえで、じゃあどうしようか、どういう関わりがいいのだろう、といった建設的な話し合いができていくものと思います。診断がはっきりすることで学校との連携がとりやすくなることはよくあります。

 

このように、誰が求めているかと、診断によるメリットがあるのかを確認してみてはどうでしようか。迷いがあるのなら、 急ぐ必要はないと思います。その前に、お子さんの成長について、主治医と話すべきことはまだまだ沢山あるはずです。
 

「診断がついてまわる」とはどのようなイメージがあって心配されているのかわかりませんが、診断を伝えたほうが本人のメリットになると思うのであれば、相手に伝えればいいし、そうでなければ特に伝える必要はないと思います。先ほども述べたように、診断はあくまでも本人のためのものです。学校側に伝えるかどうかも、本人にとってのメリットを考えて判断するのが良いと思います。
 

成長のために、学校が居心地の良く、楽しい経験を積んでいける場所であることが、何より大切です。診断が伝わることでそれが可能なのか、そうではないのか、は親御さんが判断しなくてはならないでしよう。でも、学校は本人のために親御さんと一緒に努力をしたいと思っているのではないかと思いますが、いかがでしようか。

えじそんくらぶ会報 『カラフルライフ』Vol.83より転記
| 発達障害Q&A | 16:00 | - | - |
2016.03.01 Tuesday
2月17日は、花水木全体での研修会を行いました。

今回は、「マイナンバー」についての研修です。

講師はE's Laboratory代表 江田 耕児さん。
花水木で初の試みとなる、外部講師を招いての研修です。


まずは、おさらいも含め、マイナンバー制度の基本的な説明から、
今後、おそらく実現されるであろう、個人番号カードが保険証としても使用されることや、処方せんの電子化ついてのお話など、新しい情報が盛りだくさんでした。

今後の制度変更に関しては、医療機関として、きちんと対応をしなければならないですね。

特に、個人情報の取り扱いについては、スタッフからの質問も多くあり、大変実りの多い研修会となりました。

 E's Laboratory 江田さん、ありがとうございました。

 
| 法人の取り組み | 09:03 | - | - |
2016.02.26 Friday
2月17日は、第9回お母さん・お父さんセミナーでした。

6月から続けているこの親御さんを対象としたセミナーですが、いよいよ残すところ一回となりました。
今回のテーマは、「得意・不得意」です。



発達に特徴のある子供について学んできましたが、このテーマはお子さんの将来を考えていく両親にとっては、とても重要なトピックだと思います。

中野院長による説明後の質疑応答の時間では、お母さんからの質問に対して、他のお母さんが「私はこうしているよ。」といったようなお互いに情報交換をするといった場面も見受けられ、主催側としてはとてもうれしい気持ちになっております。普段では中々相談しにくいことも、ここでは気兼ねなく人に聞けることができるのかなと思います。
今後もこうした機会を提供できればと考えております。

また、セミナーとは別の話になりますが、
こういった記事を見つけました。


東大生の4人に1人は「アスペルガー症候群」元東大院生のツイートに現役も「マジだと思う」
http://www.j-cast.com/2016/02/04257610.html より
http://tabi-labo.com/79962/adhd-is-gift/ より

これに対し、元日本マイクロソフト社長 成毛 眞さんは、
「東大生の問題はADHDが少ないことだ。そもそもADHDは受験勉強に向いていないからだ。しかし、ADHDこそスタートアップベンチャーでは必要な人材だ。だから往々にして東大は使えないと言われることがあるのだろう。」と言っています。


多くの東大生が官僚を目指す理由は、彼らが持っている能力を最大限に活かそうとしているといっても良いのかもしれませんね。


まさに、「得意・不得意」です。

 
| 法人の取り組み | 16:35 | - | - |
2016.02.17 Wednesday
<発達障害Q&A>
Q 生徒の1人が反抗挑戦性障害という診断名がつきました。
この障害のある子に対してどのようにしたらいいか教えてください。
反抗挑戦性障害は治るのですか?

 

A まず、「反抗挑戦性障害」という診断ですが、これは、以下のような診断基準(DSM-検に基づいています。

「6か月以上持続する拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下のうち、4つ以上が当てはまる。」
  • しばしばかんしゃくを起こす。
  • しばしば大人と口論する。
  • しばしば大人の要求、または規則に従うことを積極的に反抗または拒否する。
  • しばしば故意に他人をいらだたせる。
  • しばしば自分の失敗、無作法なふるまいを他人のせいにする。
  • しばしば神経過敏または他人からいらいらさせられやすい。
  • しばしば怒り、腹を立てる。
  • しばしば意地悪で執念深い。
注)その対象年齢、発達水準の人に普通認められるよりも頻繁に起こる。
B 社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。(CとDは略)
 

こうやって見てみると、自分勝手で、我儘、すぐ切れて大人や友人の嫌がることをわざわざするなど、とてもじゃないですが、付き合いきれそうにもないですね。自分のクラスに一人でもいたら、かなり厄介です。

 ところで、この診断は18歳以上にはつけない約束になっています。どうしてか、という説明を以下、してみます。

例えば、いつも大人に口答えをする、他の子にいじわるをするなどは特殊な行為ではありません。どこにでもいそうな「悪がき」です。

勿論、診断をつけるからには「悪がき中の悪がき」ということなのですが、これを子どもにのみ使う約束になっている根拠は、子どもたちは親子関係、両親の関係を含めた家庭の状況、友人関係、教師との関係、学校以外の年上の子どもとの交流、地域環境など、諸々の影響を受けることを考慮しているからです。

生まれた時からの「悪がき」はいないわけで、成長の過程での影響が大きいことを踏まえる必要があるというわけです。

 ですので、診断名はやや大げさですが、その子の背景には何か問題やストレスがあり、そのための反応、すなわちSOSサインとして受け取る必要があるということになります。

また、ADHDとの関連が深いことも分かっています。衝動的で感情コントロールが難しいといった特性がもともとあり、更に上述したような環境要因が重なると、この診断名がつきやすいということです。

 ですので医師によっては、この診断名を極力避けることもあります。どうしても誤解が生じやすいからです。

こういった状態(病気とは言いにくいですね)は、その後の関わりによって、改善し、全く診断がつかなくなることも充分あります。子どものSOSサインをどう受け止めるかは大人側の責任になりますね。怒っていらついている子どもが何を訴えようとしているか、耳を傾けてみてください。
 
*DSM-犬魯▲瓮螢の精神医学会で出している診断基準。現在、DSM-5になっている。DSM-5では、「破壊的行動障害と素行障害」に分類。

 
| 発達障害Q&A | 14:42 | comments(0) | - |
2016.02.12 Friday
早いもので、2月も二週目が終わろうとしております。
生けてあるもお花たちは、

雪柳、コデマリ、ドラセナ
だそうです!









あぁ、春がまちどうしいですね。





















桜が咲いております。













まだつぼみが多いですが、
日に日に、少しづつ満開に近づいている気がします。













札幌はこれからが雪本番になりそうですが、
この桜がなによりの癒やしになってくれています。





花たく様、いつもありがとうございます。
HP:http://www.hanataku.net/


お仕事頑張ろっと。
| お知らせ | 17:48 | - | - |
2016.02.05 Friday
<発達障害Q&A>
Q  ADHDとASDの診断をもつ中学生の息子は、支援は必要ないと言い張ってサポートを受けるのを頑なに嫌がります。他の子と違うことをするのが嫌だというより、本人は日常生活で「困っていない」ようです。ただ、先生や親などの大人は勉強面、生活面の対応に本当に困っています。どう関わったらいいのでしょうか?

A  ご質問の趣旨は、「支援を必要ない」と言っている本人にどう支援を提供したらいいのか、ということでしょうか。

 ASDのある場合、自分を客観化することが難しいことがあります。いわゆる「他者視点」ですね。自分が他の人に比べてどうなのか、自分を他者の立場に置き換えた時に自分がどのように見えているか、客観化して評価する力です。

他の人よりも段取りが良くないとか、集中が途切れやすいとか、自分をある意味冷静にとらえなくてはなりません。これが弱いと「困り感」は持ちにくいと思います。小さい時からの「マイペース」が残っているわけです。

さらにADHDの部分が加わると、どうしても咄嗟の言動が多く、しかも気持ちのコントロールが難しい傾向を持ちやすくなります。ですので、周囲は、つい小言や注意を言いたくなりますが、そのたびに、本人がかっとなって言い返す、素直に聞かない、となると更に小言を言われるという悪循環に陥りやすくなります。こうなると、関係性としては、決して良いとは言えません。

本人が診断名を知っているかどうかでも違いがあるかもしれませんが、まずは、一緒に何か楽しんだり、本人の得意とすることに着目するなどを通じて、関係性の改善から始めるのはどうでしょうか。

そのうえで、「支援」のような大袈裟なことではなく、「こうしたらうまく行くって聞いたな」といった軽い調子でつぶやいてみるとか・・・。最初は無視されるでしょうが、良い関係性さえ保たれていれば、その内、参考にしてくれるかもしれません。そして、大人の言う通りにしてみたら、結構便利だったという経験をしてくれればしめたものです。「支援」は、お互いの言うことに耳を傾けようとする相手への関心や信頼の上にようやく成り立つものです。

他者視点の獲得には個人差があります。無理やり外から引き出すこともできません。それまでは、ゆっくり安定した関係を育んでいきたいものです。

それにしても、中学生は思春期ド真ん中。なかなかに手強いはずです。むしろ、大人の言う事を素直に聞く中学生のほうが、成長過程としては「大丈夫?」という気がします。

本人もうまくいかない辛さを抱えて、でも、困っているとは言いにくい、手強いジレンマを抱えているはずです。


 
| 発達障害Q&A | 14:22 | comments(0) | - |
2016.01.28 Thursday
<発達障害Q&A>
Q 子どもが親の財布からお金を取ります。とったお金はトイレに隠したり学校にもっていったりします。とったことを忘れてしまっていることもあります。
お金はゲームセンターなどで使うようです。
 
病院で相談したら財布を隠すようにいわれましたが、それでいいのか?と疑問を感じました。どうしたらいいでしょうか?

A   外来でも、同様のご相談をたまに受けますので、親御さんにとって少なくない困りごとの一つと思います。

お子さんの年齢は分かりませんが、ゲームセンターに行くということは、中学生から高校生でしょうか。おそらく、何度か叱責したにも関わらず繰り返される事が最も悩ましいことなのではないでしょうか。

こういった場合、親の立場ではなく、子ども側に立って見ることで対応が考えやすくなるかもしれません。問題としては、大きく2つの場合があるように思われます。

 一つは、衝動的にお金に手が出てしまう場合です。例えば、とても欲しい物があるが自分のお小遣いでは買えないし、親は買ってくれない。あるいは、ゲームセンターに行きたくて仕方がないが、お小遣いが足りない。 ある日、たまたま親の財布が目に入った。「悪いこと」と思いつつも気持ちを抑えきれずに手を伸ばしてしまう、という場合です。

欲求を抑えきれずに咄嗟に衝動的に動いてしまったわけで、心の動きの特徴は「衝動性が高い」ということになります。

二つ目は、欲しい物がある、したい事がある、お金があれば叶う、親に要求してもだめと言われるので、親が見ていない時に手に入れる、という一連の思考と理屈の流れがあり、それにいわば「淡々と従って」行動した場合です。お金は便利なものだが、正当な手段以外で手に入れてはならないという社会のルールを知らない、あるいは十分に理解していないことが背景にあるかもしれません。

一つ目と二つ目の決定的な相違は、本人に罪悪感があるかないかですが、これは大きな違いですので、お子さんの場合はどちらなのか、あるいはどちらに近いのかを見極めて対応や関わりを変えていく必要があるでしょう。
 
さて対策ですが、衝動性が勝ってしまった場合は罪悪感と後悔の念に苛まれることで、なんとか自分の欲求を抑えようという気持ちが芽生えます。衝動性の強さにも個人差がありますが、衝動性のコントロールが上手に身に付く年齢にも個人差があります。

叱られて辛い思いをし、自分を責めたり、後悔しながら、欲求をコントロールする術を次第に身に着けていきます。こういった心の作業は、本人の精神的成長に繋がっていきます。これを見守ることは本人の主体性を尊重し、育てていくことに繋がっていくと思います。叱責も必要ですが、親の「信じて待つ」姿勢も子どもの心の育ちには欠かせません。

本人が懸命に自分の衝動性を抑えようとしている中、現金が沢山入った財布がいつも目の前にあるのは、辛い事でしょう。いくら主体性を重んじるといってもこれでは行き過ぎですし、まるで子どもを試しているかのようになってしまいます。財布の管理は親側の責任です。
 

さて、より対応に苦慮するのは、後者ではないでしょうか。“罪悪感がどうも弱いのではないか”と心配になる場合です。

ご質問では「トイレに隠したり、学校に持っていったり」とありますので、隠してはいるようですが、罪悪感から隠すのではなく、「叱られて嫌な思いをしたくない」という目的のために隠しているのではないですか。

「忘れていることもある」とのことですので、罪悪感があったとしても、かなり弱いのかもしれません。であれば、見守っていることで罪悪感や倫理感が自然に成長するかどうかは難しいかもしれません。かえって頭ごなしに叱責したり、反省を求めすぎると、「親が怒らないように」より巧妙に抜き取るようになるだけかもしれません。

通常は、わざわざ教えなくても「言わずもがな」で身につくはずの社会常識や道徳観念なのですが、特に広汎性発達障害のある場合は、「教えてもらっていないので知らなかった」ということがありえます。いわゆる、「未学習」ですね。

他にも、親が気づかなければOK(叱られずに済めばOK)と思い込んでいたり、他人のお金を勝手に取るのは法律違反だが、家族の物は共有だと思い込んでいた、という勘違い、すなわち「誤学習」という場合もありえます。

こういった「未学習」や「誤学習」の存在が疑われる場合は、まずは「学習」が必要です。「知っているはず」と思いこまずに、その行動について本人が何を考えたか一つ一つ丁寧に聞いてみてはどうでしょうか。

案外、「わざわざ教えなくても知っていると思っていた」のは親の思い込みということもありえます。その中で学習すべき部分を補足していくことが本人の社会感覚を育てていくことになりましょう。

同時に、その行動に対して親がどんな気持ちを持ったか、“悲しかったよ”といったことも率直に伝えることも大切です。中には、“親は自分を嫌いだから怒っている”と考える子どももいるからです。

大雑把に二つの場合に分けて述べましたが、きれいに分かれる訳ではないでしょう。両方ある、こちらが強め、こちらが弱めといったことは子どもによって異なると思います。

このような事を参考に、お子さんの様子を一番よく知っている親御さんなりの「育て」をしていただければと思います。

 
| 発達障害Q&A | 11:48 | comments(0) | - |
2016.01.20 Wednesday
<発達障害Q&A>
Q 小1の男子です。怒られたりすると、性器いじりがひどくなります。止めるように言うとパニック状態になることもあり、人がいる前でもやるので、気になります。どうしたらいいでしょうか?
 

A   同じ内容のご相談は、男の子でも女の子の場合でも、時々あります。

 これは、単なる癖なので、爪かじりとか、髪をいじるとかと基本的には同じように考えていいのですが、大人側がどうしても、性的なニュアンスを感じてしまって、ドギマギして、過剰に反応してしまいがちです。

 でも実は、思春期前の子どもにとっては、性的な意味はないのです。まずは、この事の理解が必要です。

 思春期年齢以降のマスターベーションとは、異なる行為です。ですので、「怒られると性器をいじる」は、「怒られると爪を噛む」と同じに考えて良いことになります。でも、どちらも余りよろしくないかもしれませんね。深爪も困ります。


さて、お子さんは、怒られたことで誘発された感情の処理を、自分なりになんとかしようとしたのでしょうね。今回の事を、お子さんの立場で想像すると、

”怒られたので、気持ちを落ち着けようとして、性器を触ったら、止めるように言われて、ますます、どうしていいか分からなくなってしまった”

 ”困ったり、混乱した時は、性器を触ると落ち着くので、いつもの通りにそうしたら、お母さんはすごく怒る。でもどうしたらいいのか分からない。”

”どうしてお母さんはそんなに怒るのかも分からない。” 
と、こんな様子でしょうか。

要するに、感情の処理をどうしていいか分からなくなって、パニックってしまった、ということなのではと思います。また、怒っても、まだ人前で繰り返す、ということは、性器いじりが他人からどう見えるかについても知らないだけなのだと思います。

 
なので、まずは、「頑張ってなんとか気持ちを落ち着かせようとしたんだ」ということを受け止めるところから始めてはどうでしょうか。その上で、性器いじりは、人前でやるのはカッコ悪いから、他の方法を考えてみない?と提案してみてはいかがですか?

 落ち着いて話ができる時を選んで、相談を持ちかけると、本人は一生懸命考えてくれるはずです。こちらが、困っているのが分かると、本人も真剣に悩んでくれて、思いもつかなかったアイデアを出してくれることが多いと思います。

手をギュッと握るとか、その場を離れるとか、声を出すとか、水を飲むとか、何か落ち着くグッズをいつも持ち歩いているとか、他にも方法は沢山あるはずです。


 また、どんな場合もそうですが、禁止の言葉だけだと、本人がびっくりして混乱したり、反発したり、興奮するだけで、お互いにとって生産的なことは何もありません。

お互いに知恵を出し合うことも大事ですし、あるいは、こちらから望むことがある場合は、具体的に、こうして欲しい、こんな方法もいいと思うよ、といった言葉かけがあると、子どもにとっては、分かりやすく、受け入れやすいと思います。


また、止めてほしい時も、「これは、こういう理由で、よくないよ」 「だから次はこうして欲しい」ということを、伝えてあげてください。多くの子どもは、ただ知らないだけだったり、誤解しているだけだったり、するようです。

 
えじそんくらぶ会報 『カラフルライフ』 Vol.71より転記
| 発達障害Q&A | 11:22 | comments(0) | - |
2016.01.12 Tuesday
<発達障害Q&A>
Q1 ADHDの診断を受けた21歳女子です。とても疲れやすく、体もとても硬くて困っています。発達障害のある人は疲れやすい、体が緊張しやすいと読んだ気がするのですが、仕方ないとあきらめるしかないのでしょうか? 

疲れやすいため「怠け者」と思われることもあるため、周囲へ説明したいと思っています。どうしたらいいでしょうか?

A  発達障害のある方の疲れやすい、という訴えは時々お聞きします。


 疲れの原因は色々と考えられると思いますし、逆に言うと、疲れの原因をこれだと特定するのは難しいかもしれません。おそらく様々な事が関与しているのではないでしょうか。

また、体が硬いということですが、これは必要以上に力が入りやすい、抜けにくいということでしょうか。ここではひとまず、そう解釈しておくことにします。

 まずは疲れですが、体力がないというより、他の人より余計にエネルギーを使うのではないかと思います。

例えば、ADHDのある方の場合、注意が移りやすい、集中が途切れやすい、忘れ物をしやすい、感情の起伏が大きい、衝動的な言動をとってしまう、といった傾向があります。ある状況にうまく適応するためには、こういったことを抑えたり、コントロールする必要があるのでしょう。その結果、無意識ではあっても、他の人よりも多くのエネルギーを使うのだろうと思います。


 また、ASDのある方からも同様なお話を聞くことがあります。この場合は、感覚の敏感さ、情報が優先順位つかずに入ってくる事、相手の表情や言葉遣いを注意深く読むためのエネルギー、天候や気圧の変化などなど、多くが関係しているのではないかと思います。

こうやって考えると、ASD、ADHDどちらも、通常の生活の中でさえ、多くのエネルギーを使わざるを得ないのではないでしょうか。


 診察室でよくお聞きするのは、帰宅するととても疲れているのに気付く、シャッターが下りるように急に情報が入らなくなる、頭が回転しなくなる、などの言葉です。ご自分で自覚するよりもエネルギー消費量は大きいのかもしれないですね。身体が硬いということも、常に気を張っている、緊張している、身構えているということと関係がありそうです。いかがですか。


では、対策はどうしたら良いでしょうか。
「怠けているのではない」ことを口頭で伝えるのも必要と思います。伝えないと伝わりませんし、何度も伝えていく事が大切だと思います。

他にはどんな対策があるでしょうか。意識的に疲れをとるための工夫はどうでしょうか。一人でいる時間、刺激が少ない空間、好きな事を気兼ねなく楽しむ時間などです。ただ、その時に気を付けた欲しいのは、ゲームやネットは楽しいけれど、案外、肉体的疲労に結びつくことです。

どんな時に自然に体の力が抜けているか、ご自身を観察し、その状態を意識的に作る工夫は役に立つはずです。

 
| 発達障害Q&A | 14:29 | comments(0) | - |
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