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2015.12.25 Friday
<発達障害Q&A>
Q 20代のADHD当事者です。就労先を探してハローワークに行ったところ、就職に有利なので手帳を取るように言われました。本当に手帳は必要なんだろうか?かえってデメリットになるんじゃないか?など、いろんなことを考えてしまいました。当事者の就労には手帳は必要なんでしょうか?

 
A   まず、手帳について簡単に説明しましょう。

 手帳には身体障害のある場合に身体障害者福祉手帳、知的障害のある場合には療育手帳、精神障害の方のために精神障害者保健福祉手帳(以下、精神の手帳とします)があります。

 発達障害は独立して発達障害者手帳が必要という意見もありますが、現時点で厚労省は、精神障害の範疇として扱っているので、精神の手帳になります。自治体によっては、療育手帳も取れるところがあるなど、自治体レベルでの裁量もあります。

 手帳を希望する場合は、主治医が申請のための診断書を作成します。それを各自治体が審査して相応と判断すれば交付されることになります。ただし、精神科の受診歴が半年以上あることが必要ですので、すぐに申請できるわけではありません。

 手帳取得のメリットとしては、種々の税金の控除や交通費助成などがあるほか、今回のご質問のように、就労支援に直結したメリットもあります。福祉の領域での「パスポート」のようなものでしょうか。

 福祉サービスや社会資源を利用する時に「手帳があります」の一言でスムーズに行くことは多いと思います。よく聞かれるのは、持っていることを常に言わなくてはならないのか、という質問です。勿論、そんなことはありません。メリットがあると思えば、「手帳を持っています」と言えばいいのです。

 手帳は元々、持っていることが便利だったり、生活や就労をしやすくする目的があるわけですから、手帳を持っていることのメリットがないと判断すれば、伝える必要はありません。ですので、デメリットについては考える必要がないのではないかと思います。実際に、「手帳があって困った」という話を耳にしたことはありません。
 
 これまで障害者の法定雇用率(一定の規模以上の事業主は一定の割合で障害者の雇用を義務付けられていること)については精神障害の場合は特にしばりがなかったのですが、平成254月からは、精神の手帳を持っている人を、事業主が障害者雇用率に算定できるようになったのです。一般就労への道が拓きやすくなるという手帳のメリットがはっきりしたといえます。

 これまで、支援を受けずに働いてきて、困難さを経験してこられたのであれば、手帳を利用するという就職活動を選択肢の一つに加えてはどうでしょうか。専門的なアドバイスやジョブコーチも利用しやすくなります。

勿論、手帳が不必要になれば、利用しなければいいわけですし、返還するとか、更新しなければ自動的になくなります。就労へ向けての使い勝手のいいパスポートと考えていただければ、と思います。
 
*参考:障害者雇用率制度について(厚生労働省のホームページから)
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、平成2541日から事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています(精神障害者については雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます)。

 
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