<< 発達障害Q&A~夫の協力~ 後半 | main | 12月の花水木 >>
2015.12.01 Tuesday
<発達障害Q&A>
Q 軽度のLD がある11歳の娘を、受け入れるのが難しいのです。会話と聞き取りに問題があるようですが、学校生活では全く問題 がないように見えるほど我慢しています。
 

そのせいか、帰ると些細なことで泣きわめき、時に暴れること もあります。怒りの原因が独特のこだわりやか考え方に起因することもあるため、母親の私には娘の態度を我慢できないこともありますし、心の中ではいつも娘を否定してしまいます。
 

また、6歳下の妹に反射的にしてしまった暴力で、大けがになっ たかも・・・という場面が何度かあったことも心配です。

 

こうした私の気持ちが伝わってしまうせいか、愛情欲求や被害者意識が非常に強く、それがまだ私には重荷になってしまいます。 どうしたら娘を感情的に受け入れることができるようになるでしようか?


A  大変重要な問題を率直に質問していただきありがとうございます。
質間には幾つかの問題点が含まれているので、分けてお答えしたほうがよいように思います。

 

まずーつ目は娘さんの診断名についてです。「軽度のLD」とのことですが、それだけなのかが気になります。「独特のこだわりや考え方」があるようなので、学習障害だけでは説明しきれないのではないですか。

例えば、広汎性発達障害もある可能性を考えたほうがいいと思います。一見、発達に問題がない、 あるいは言葉などもむしろ早めに獲得してしまう場合は、診断が難しいことが多くあります。娘さんを理解するうえで、再度の診立てが必要と思われます。もう一度、主治医の先生に相談されてはいかがでしようか。


 

二つ目は、11歳という思春期年齢にあるという点です。 身体の成長、変化だけでも精神的安定性に影響することがありますが、更に、周囲との人間関係も大きく変わる時期です。

例えば、友達関係、親子関係、兄弟関係などの人間関係に質的な変化も起こり始めます。友人には複雑で微妙な会話や関係性
を要求されますし、親に対する客観的な評価の目を持ち始めるのもこの時期でしよう。

口では一人前の事を言いながら、精神的な未熟さが多分に残るのがこの時期です。誰にとってもこの思春期は「嵐」の時代です。しかも、渦中にいる本人にとっては、いつどう終わるのかも分からない無我夢中、暗中模索の辛い時期でしよう。


 

加えて、広汎性発達障害のある場合は10歳前後に『心の理論』 を獲得するといわれ、不安定になることが多くあります。『10歳の壁』という言葉もあるほどです。

この時期をどう乗り超えるかは、その子の世界観、人生観に大きな影響を及ぼします。どうぞこの時期を大事に過ごしてほしいと思います。


 

さて、三つ目ですが、これが一番難しい問題ですね。多くの親御さんのお話を聞いていると、確かに「愛情」と「相性」は別なのかもしれない、と思うことが多くあります。

親も子も人間である以上、「相性」があるのは仕方のないことかもしれません。でも、この相性も固定したものでもないようです。例えば、食べ物や音楽、色など、好みや相性はしばしば変わりますよね。

ただ、お子さんとの関係性では、「自然に待つ」だけではなく、工夫があってもいいかもしれません。 ヒトは、知ること、理解することで感情や気持ち、好み、相性が変わることがよくあります。先ほどの診断のこと、思春期年齢にあること、など娘さんの理解の助けになるとすれば、また気持ちも変わるように思います。


 

注釈) 自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害児者の多く に、心の理論と言われる障害があると言われています。心の理論 (Theory of Mind) は、ヒトが他者の心の動きを類推したり、他者が自分とは違う信念を持っているということを理解したりする機能。

心の理論という用語は1978年にデビッド・プレマックとガイ・ウッドラフによる論文において初めて使用され体系化された。また『心の理論』仮説は、人の認知発達研究に多 大な影響を与え、より巧妙な『誤った信念課題』と呼ばれるものが考案された。サリーアンの課題など。

参考文献『こころの科学』2001年11月号 『心の起源をさぐる―比較認知科学からのアプローチー』

 

えじそんくらぶ会報『カラフルライフ』Vol.66より転記

| 発達障害Q&A | 11:09 | comments(0) | - |
コメント
コメントする