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2015.10.20 Tuesday
<発達障害Q&A>
Q1 18才の息子が家にいて、勉強も仕事もしません。何か言うとけんかになり、「僕のこと理解してない!」といってパニックになり物を投げたりします。
辛いことばかりで 私もウツの診断を受けました。親としてどうしたらいいでしょうか?



A 18歳といえば、もう親の言うことを聞かないほうが「普通」でしょうか。
 
この年齢の男性が親に言われた事に「素直」に従うほうが、「大丈夫?」という気がします。それはそれとして、18歳で学校に行っていない、仕事もしていないという状況は決して健康的とは言えません。しかも、体格も体力も親を上回れば、パニックを起こした時のパワーは並大抵ではないでしょう。親の言うことも聞かないし、かといって人生を一人で歩むにはまだまだ力不足という、難しい年代ですね。
 
このご相談は、自宅にいる期間が長くなっているのでしょうか。半年以上、自宅中心の生活を送っていると「社会的ひきこもり」の定義1)に当てはまることになりますので、ご相談もひきこもりケースとしてお話をさせていただきます。
 
私は仕事柄、これまでひきこもりの家族や本人と多くお会いしてきました。相談として難しいな、どうしたらよいだろうと頭を抱えるポイントは大きく2つありました。

1つめ。
本人が困っていない、焦っていないように見える場合です。
ひきこもり始めの頃は恐らく、親御さんも心配で、なだめたりすかしたりされますね。しかし、その度に本人が怒り出す、家の中の雰囲気が悪くなる、ということになると、つい当たり障りのない対応になってしまい、本人はますます居心地が良くなり、ひきこもりが長期化しかねません。

こうなると10年20年は案外すぐに経ってしまうのかもしれません。先日は、中学卒業直後からのひきこもりで、相談を受けた時は既にご本人は40歳台になっておられました。家族以外あるいは家族とも話をしなくても、本人なりに充足している状況が長く続くと、それを変えるためのエネルギーは半端なものではありません。


2つめは、
本人と家族との関係が悪い場合です。本人は一切、家族と口をきかない、食事も自室に運ばせる、昼夜逆転していて、何日も顔を合わせない、何か言っても反応が返ってこない、何か働きかけると激しく興奮するなどです。

こうなるとご家族が関わり方を工夫することさえできなくなり、やはり長期化、膠着化の要因になります。

ところが、お分かりのように、この2つは矛盾しています。「働け」と言うと本人の機嫌が悪くなるので、言わなくなる、そうすると本人との関係性は一見良好に見えるが、ひきこもりは長期化するのです。
 


では、どうしたらよいか、です
 ご本人が困っていないので、相談窓口にも来てくれない、親も説得できない、という場合、第三者がご家庭に入る、というところから始めてはどうでしょうか。

 最初は、ご家族に会いに訪問します。それを何回か繰り返すうちに、本人との接点が生まれる、本人が興味を示す、ということをとっかかりに関係性を作っていくことができる、というケースが幾つもありました。確かに、長期戦になることもありますが、動き始めると案外早く進むことも経験しています。確実に変化の見込まれる方法です。

訪問には、自治体によっても異なるかもしれませんが、精神保健などの担当部署の精神保健福祉相談員や保健師が当たることができると思います。相談員はご本人が興味を持っている話を一緒にするなどで、最初は良い話し相手になるところから始めるかもしれません。

保健師は血圧測定から始めるかもしれません。それぞれに専門家ですから、ご本人とうまく関係性を作ってくれます。これまで、多くの相談ケースが動いています。就労支援に繋がって、働き始めた青年たちも多くあります。

 改めて本人からお話を伺うと、決して、ひきこもり生活に満足していた訳ではなく、どうしていいか分からなかった、誰かに相談したかった、という思いを聞かされることがあります。


 膠着状態にある時は、何をやってもうまく行きません。
やることやること全てが悪循環に拍車をかけるかのようで、大きな無力感に襲われてしまいます。

そういう時は思い切って、専門機関に相談し、専門家に動いてもらうことで効果が上がる場合があります。新しい風を入れることで予想外の展開が望めそうです。
 
ご相談ケースは、確かに、親御さんの心労は大変なものであるとお察しします。でも、「けんか」になりながら、親御さんが粘り強く働きかけることを止めずに頑張っておられるので、きっとご本人は「困っている」と思います。

この「困り感」はとても貴重です。本人も「今のままでは困る」と思っていればしめたものです。ご本人が相談窓口に行くきっかけになりませんか?誰かに相談したい、愚痴をこぼしたい、「親がウザイ」という話でも立派な相談内容です。

 親御さんがこれまで諦めずにいらしたことは、新しい動きの原動力になるはずです。
| 発達障害Q&A | 11:57 | comments(0) | - |
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